1945(昭和20)年8月、ソ連(現・ロシア)は日本に宣戦布告し、満州(現・中国東北部)や朝鮮北部などに侵攻しました。さらに日本の降伏後、日本の軍人・軍属を中心に60万人以上の人びとを自国やモンゴルへと連行・抑留して強制労働を課しました(シベリア抑留)。
本展では、このソ連参戦や抑留の記憶を生涯伝え続けた画家・佐藤清氏(1925〜2014)を取り上げます。
佐藤氏は、1944年に陸軍から召集されて満州に渡り、幹部候補生となって石頭予備士官学校に入校し、そこでソ連軍の侵攻に遭いました。さらに終戦後、ソ連軍によってシベリアのフルムリ地区へ連行・抑留されたのです。1947年末に日本へ帰還すると、数年間の病気療養の後に武蔵野美術学校(現・武蔵野美術大学)で西洋画を学びました。そして建築士として働くかたわら、数多くの絵と文で自身の体験を描き残したのです。また、1988年に40人以上の抑留画家たちと新宿で「シベリア抑留画展」を開き、翌年には同展をもとに、日本初の包括的な抑留画集である『シベリア抑留画集きらめく北斗星の下に』をまとめ上げました。戦後、日本各地で戦争や抑留の体験を伝える活動が生まれましたが、佐藤氏はその中でも特に大きな存在感を発揮しました。
2024(令和6)年は佐藤氏の没後10年に当たります。油彩画やペン画を中心とした自筆の絵画や遺品、『きらめく北斗星の下に』に収録された他の元抑留者の絵画を展示し、その活動の足跡を紹介いたします。

◆チラシPDFはこちら

日 時2024年2月7日(水)~13日(火)
9:00~17:00
会 場九段生涯学習館 2階 九段ギャラリー
東京都千代田区九段南1-5-10
入場料無料
後 援千代田区
協 力昭和館、しょうけい館
■■ギャラリートーク■■

NEW


生前の佐藤清氏ご本人と親交があった栗原俊雄氏(毎日新聞記者)と当館の学芸員による展示解説を行います。
日時:2月11日(日)13:00~(60分程度)
■■昭和館・しょうけい館との連携企画■■
九段生涯学習会館に近接している昭和館、しょうけい館では、この特別展と連携した企画を実施します。

昭和館
ニュースシアターで関連するニュース映画の上映を行うほか、図書室では関連書籍を紹介します。
※2月13日(火)休館
●昭和館の情報はこちら

しょうけい館

NEW


シベリア抑留を体験した戦傷病者について語り部が伝える講話会[2月10日(土)13:00~13:40]や、証言映像の上映、手記などの関連図書の紹介を行います。
※2月13日(火)休館
●しょうけい館の情報はこちら

■■シベリア抑留に関する企画展のご案内■■

平和祈念展示資料館(西新宿)では企画展「極限下のエンターテイメント シベリア抑留者の娯楽と文化活動」を開催します。
抑留者たちに生きる希望を灯し続けた文化活動の一端をご紹介します。ぜひご覧ください!

「顔、顔、顔…」
「冬のラーゲリ」
「ナホトカ港」

「磨刀石」
「急襲」

作品はすべて佐藤清氏画

平和祈念展示資料館 (総務省委託)