常設展示の「海外からの引揚げコーナー」に展示している資料について紹介しています。

海外からの引揚者とは


敗戦によって外地での生活のよりどころを失い、身に危険が迫る過酷な状況の中をくぐり抜けて祖国に戻ってこられた方々です。

ハルビン市居住証明書 [はるびんしきょじゅうしょうめいしょ] 浦郷布治衛氏提供

満州(現・中国東北部)のハルビン市に住んでいた日本人が、戦後も帰国せずに居住していることを証明したものです。日本政府は、海外にいた民間人を現地に留める方針をとりました。

収容日誌 [しゅうようにっし] 加藤袈裟一氏提供

満州(現・中国東北部)の延吉から引き揚げる際に、収容所となったカトリック教会で書いた、昭和21(1946)年2月1日 から11月30日までの日誌です。

譲渡内容証明 [じょうとないようしょうめい] 江原直己氏提供

愛媛館は朝鮮の元山[ウォンサン]にあった旅館で、旅館の家財道具を主人が部下に無償譲渡したときの書類です。引揚げにあたっては、多くの人が家財道具を現地に残してきました。
昭和21(1946)年2月20日

死亡届 [しぼうとどけ] 手塚元彦氏提供

満州(現・中国東北部)の瀋陽[しんよう]で急死した母親の死亡届です。当時12歳だった少年が自分で書いて役場に提出しました。
昭和21(1946)年6月18日

手持品検査証明書 [てもちひんけんさしょうめいしょ] 西山清美氏提供

朝鮮の清津[チョンジン]から釜山[プサン]の港へ向かって避難する際、検問所を無事に通過するため、保安隊に賄賂[わいろ]を渡して書いてもらった証明書です。
昭和20(1945)年9月4日

通行札照 [つうこうさつしょう] 瀧川正緒氏提供

東北行営日僑俘管理処錦州市日僑俘管理所[とうほくあんえいにっきょうふかんりしょきんしゅうしにっきょうふかんりじょ]から発行された、奉天(現・瀋陽[しんよう])までの通行証です。

日僑俘管理所腕章 [にっきょうふかんりしょわんしょう] 有田ミサカ氏提供

長春からの引揚げの際に着けていた腕章です。
昭和21(1946)年8月5日

船内用食器 [せんないようしょっき] 浅井絹子氏提供

昭和21(1946)年3月、台湾の高雄[たかお]港で、引揚船に乗り込んだ時に支給されたアルミ製の食器です。

胸章 [きょうしょう] 手塚元彦氏提供

引揚げ時に少年の胸に付いていた名札です。引揚げの際は、氏名や行き先などを書いた札を胸などに付けました。

引揚証明書 [ひきあげしょうめいしょ] 手塚元彦氏提供

海外から引き揚げたことを証明する書類です。各地の引揚港に置かれた地方引揚援護局で発行されました。引揚者はこの証明書により、郷里までの鉄道の無料乗車券や、生活に必要な物資の配給を受けることができました。

引揚者通帳 [ひきあげしゃつうちょう] 鷺島一雄氏提供

奉天(現・瀋陽[しんよう])に住んでいた男性が引揚船で鹿児島港に上陸した際に、大阪府から支給されたものです。引揚げ後、援護物資の配給を受けるために必要な通帳でした。
昭和21(1946)年7月4日

手製ワンピース [てせいわんぴーす] 広田きみ氏提供

満州(現・中国東北部)で生まれた娘に、初めて日本についたときに着せるために、亡くなった赤ん坊のおむつを使って母親が作ったワンピースです。

引揚げ大隊旗 [ひきあげだいたいき] 阿久津英雄氏提供

昭和21(1946)年、長春市からの引揚げ時に、在留邦人1500人で組織した第45大隊の旗です。引揚船が出港する葫蘆[コロ]島を目指して南下しました。

帰還者必携 [きかんしゃひっけい] 岡野嘉市氏提供

文部省が発行した小冊子。「新しい出発へ」の副題をつけ、復員者や帰還者のために、戦後新たに成立した法律や制度を解説しています。

平和祈念展示資料館 (総務省委託)