本展では、当館が所蔵する「満蒙印画輯」を取り上げます。これは中国の大連に拠点を置いた亜東印画協会が発行した写真帳です。中国・満州・モンゴルなどの景観名所だけでなく、そこで暮らす人々の生活や風俗にわたる情報を、写真と解説文で紹介したもので、1924(大正13)年から、数枚をセットとして毎月7千人の会員に配布されました。のちに「亜東印画輯」と改題、1944年まで定期的に発行され、これを原版として多くの絵葉書やブロマイドも製作・頒布されています。満蒙印画輯に収められた写真は、この時期には珍しく、ありのままの現地の様子を紹介するという意図をもって撮影されました。
 戦前、日本は国策として多くの人々を満州へ送り出し、入植を進めました。現在のようにメディアが発達しておらず、一般の日本人にとって海外の状況を知ることは容易ではなかった時代、人々はこうした写真集や書籍、市販されていた絵葉書などを通じて見知らぬ風景にあこがれを抱き、新天地を求めてまだ見ぬ地、満州へと渡りました。
 満州からの引揚げの前段となる写真の数々から、およそ100年前に人々が抱いた新天地への憧憬の念を感じていただければ幸いです。

※展示作品のオリジナル解説文には、一部、現代の歴史認識や社会通念に照らして不当・不適切な表現や語句、差別的表現が見られる部分があります。出版当時の時代的背景と本作品の資料的意義を考慮し、語句的注釈や旧漢字対照のみを加えて展示することをご了承ください。

◆チラシPDF版はこちら

日 時 2024年4月16日(火)~7月15日(月・祝)
前期:4月16日(火)~6月2日(日)  
後期:6月4日(火)~7月15日(月・祝)
9:30~17:30 (入館は17:00まで)
休館日:毎週月曜日(月曜が祝日の場合は火曜日)
会 場 平和祈念展示資料館 企画展示コーナー

企画展関連イベント(参加無料・予約不要)

学芸員によるギャラリートーク
日時:4月21日(日)、5月19日(日)、6月16日(日)、各日とも13:00~(約30分)
学芸員による展示解説を行います。同日14:00より、定期語り部お話し会を開催します。

ビデオ上映
会期中、ビデオシアターで「満鉄記録映画集」「満州ニュース映画」各編を上映します。
詳しくはビデオシアター上映予定をご確認ください。

ゴールデンウィーク企画(参加無料・予約不要)

映画上映 毎日11:00~
■5月3日(金・祝)「葫蘆島大遣返 日本人難民105万人引揚げの記録」(102分)
 製作・脚本・演出:国弘威雄 演出・編集:松井稔 監修:新藤兼人 1997年
■5月4日(土・祝)「嗚呼 満蒙開拓団」(120分)
 演出:羽田澄子 製作:工藤充 2008年
■5月5日(日・祝)「樺太1945年夏 氷雪の門」(119分)
 監督:村山三男 脚本:国弘威雄 1974年
■5月6日(月・休)「葛根廟事件の証言」(74分)
 監督・製作:田上龍一 2017年

海外からの引揚体験者による語り部お話し会
5月3日(金・祝)~5月6日(月・休) 各日14:00~(約60分)
詳細は続報をお待ちください。
枕売る小娘(石匣)
奉天四平街通り(奉天)
洗濯(山東にて)
帆かけ一輪車(山東省)
楓橋(蘇州)
平和祈念展示資料館 (総務省委託)